見出し画像

【まもなく北陸新幹線駅開業】第5弾!小松のみなさんに聞いてみました

2024年3月16日の北陸新幹線「小松駅」開業まで、あと少し!
【まちのみなさんに聞いてみました】シリーズ、今回は、小松駅前の商店街で乾物や佃煮などを販売する老舗商店「すみげん」の角谷亮(すみたにりょう)さんに伺いました。


創業170年余、日本の食文化を伝える「すみげん」

小松駅前の三日市商店街にあるすみげんは、江戸時代末期から続く老舗商店。もともとは北海道から北前船で運ばれてきた昆布や身欠きニシン、肥料となるニシンカスなどを販売していました。

なんと創業から170年余り。小松の地で、乾物や海産物、保存食、発酵食など、日本で受け継がれてきた伝統の食文化を伝え続けています。

保存食や発酵食など加賀の食文化を発信する「すみげん」

こまつ町家に認定されている建物は、天井が高く、広々とした空間。25年ほど前に改装し、船底に見立てた木天井を取り付けたり、投網を大胆に練り込んだギャラリースペースがあったりと、海産物に端を発した店の歴史を感じられるインテリアに。奥には中庭を眺めながら談笑できる、大きなテーブルもあります。

観音下など小松の石を使い、実際に水を流せる川や山も店内に再現されています。これは、日本の豊かな自然の中で育まれ、先人たちが生み出してきたさまざまな伝統食を扱う店のイメージを表しているそうです。

すみげん店内
昭和初期に建てられた、こまつ町家
すみげんのギャラリー&食事スペース
船底をイメージした木天井、投網を練り込んだ壁でギャラリースペースも

並んでいるのは、昆布やかつお節といっただしから、佃煮、魚の干物などさまざま!日本の伝統食の豊かさに改めて気付かされます。

ふぐ、いわし、にしんの糠漬け
石川県の特産品である糠漬けも扱う

こちらは魚の糠(ぬか)漬けです。全国的にはフグの糠漬けが有名ですが、地元で愛されてきたのは〈にしん棒〉や〈こんかいわし〉と呼ばれる、ニシンやイワシの糠漬け

お酒のあてとして好まれていますが、アンチョビのようにピザに乗せたり、チャーハンやパスタに加えたりするのもおすすめだとか。

そしてフグの糠漬けのアイスクリームも販売!枠にとらわれず、伝統食の新しい食べ方を提案してくれるお店なのです。

〈だしソムリエ〉として、だしの魅力を発信

「すみげん」の6代目として、5年前に経営を引き継いだ角谷亮さん。〈だしソムリエ〉として、だしの魅力を知ってもらう活動も展開しています。

1級だしソムリエの資格をもつ角谷亮さん

伝統の食文化を守るためには、その美味しさを味わう体験が必要だと考え、「利酒(ききざけ)」ならぬ「利出汁(ききだし)」で自分好みのだしを選んでもらうワークショップなどを企画。幅広い世代の人たちに【ほんもののだし】の美味しさに触れる機会を提供しています。

小学校で講師を務めた際に、子どもたちから送られた感想文には「美味しかった!」という声がたくさん。「小さい頃の感動体験は、大人になってからもきっと覚えているはず」と、食文化の継承を店の理念に掲げ、食育活動に力を入れているのです。

小学生からの感想文
小学校で「だし」の授業を行うなど精力的に活動

その活動は噂に上りあちこちから講師を依頼され、なんと婚活での講座も担当。婚=昆布、活=かつお、という語呂合わせからということですが、二人の仲が深まるのは、合わせだしと同じ。共同作業として一緒にかつお節を削るのも、二人の距離を縮めるのに役立っているんですって!

お正月のお飾り、結納品や引き出物など、縁起ものとして古くから親しまれてきた昆布やかつお。多くの人を結びつけるアイコン的存在になるかもしれませんね。

最高級の「天然一等利尻昆布」
いい昆布は、ほんの5cm程度で1リットルのだしがとれる

ちなみにこの「天然一等利尻昆布」。1メートルで1000円ほどですが、良質の昆布は5cmぐらい使うだけで1リットルのだしがとれるとのこと。

表面は拭いたりせずに、20分ほど水に浸けて火にかけ、沸騰する直前に昆布を取り出すだけ。本格的なだしをとったことがないという方は、まずは簡単な昆布だしから始めるのがおすすめだそうですよ。

新幹線開通に向け、開発した商品

さてさて、そんな角谷さんが、新幹線で小松を訪れる方に楽しんでもらおう!と開発したのは、その名も「りくつなちょい呑みセット」

りくつなちょい呑みセット
新幹線開業に合わせて開発した「りくつなちょい呑みセット」(1,188円)

新幹線の中で、日本酒のおつまみとして移動中も楽しんでもらおうという商品です。第一弾は、石川県の珍味、ごりの佃煮とふぐの糠漬け、そしてすみげんで人気の葉わさびの佃煮の3種類を詰め込みました。

小松は、出張で訪れるビジネスマンが多い街。何度もここを訪れる人たちに、毎度の楽しみとして味わってもらえたら嬉しいと、ゆくゆくは季節ごとに内容を変えて提供していきたいということでした。

〈りくつな〉とは石川県の方言で「便利な」という意味。お酒のあてとしてだけではなく、ちょっとしたギフトや、少しずつ試せる味見用など、使い勝手がいいのも魅力ですね。

お店はもちろん、小松駅高架下のKomatsu九(こまつナイン)や、小松空港の空の駅、徳光PAのTaanTo(タント)でも現在販売中だそうです。

りくつなちょい呑みセット
おすすめの珍味が食べきりサイズで3種

ふっくらと炊き上げた旨味たっぷりの昆布の佃煮は、辛子昆布や椎茸昆布、松茸昆布などよりどりみどり。ニシンの旨煮やかつおごぼうなど、だしのうまみをぎゅっと閉じ込めた専門店ならではの味もずらり。日本の食文化の奥深さをぜひ味わってみてくださいね。

さまざまな味の手作りの佃煮が並ぶ
【歌舞伎のまち小松】にちなんでデザインされた〈山中塗〉の器に入れた佃煮

老舗の威信をかけた【かつお節ごはん】

さて、「すみげん」ではランチタイムに蕎麦が食べられるのをご存知ですか?

蕎麦の看板
数量限定!イートインできる蕎麦メニューも豊富

先代は趣味が高じて蕎麦の名店に修業に入ったという肝入り。角谷さんも同じ店に修業に行き、親子で手打ちした蕎麦を提供しています。だしの美味しさを知ってほしいということから始めた蕎麦、口コミで広がりあっという間に完売する日も。数量限定のため予約がおすすめです(水曜・木曜と12月は蕎麦はお休み、売り切れ次第終了)。

かつお節を削る角谷さん
かなり力のいる作業で、いいかつお節にするためには刃物の調整も必須とか

実は、提供しているのは蕎麦だけではありません。最高級の乾物を扱う老舗店だからこその、こだわりの逸品が!

それは、削りたてのかつお節をたっぷりのせた【かつお節ごはん】です!

かつお節ごはん
削りたてのかつお節をどーんと!だし醤油も絶品

角谷さんがイチオシの鹿児島県産「本枯れ本節」。最高級のかつお節です。リズミカルに削っておられましたが、とても力のいる重労働。熟練の腕で、ふわふわのかつお節に仕上げます。

なんてシルキー!薄すぎて、息をかけただけで舞ってしまうので要注意!

本枯れ本節
旨味のバランスが良いという鹿児島県産の「本枯れ本節」
削りたてのかつお節
ふわふわのかつお節

味わい方の極意というと、まずはかつお節だけ。次は、小松産のお米をつやつやに炊き上げた白ごはんと一緒に。続いては、すみげん特別配合のだし醤油をかけて。最後は、生卵と一緒に食べる…という、4段仕立てで。

口に入れると溶けてしまう、極薄ながら濃厚な味わいのかつお節。だし醤油は、きりっとしつつも、上品なだしの香りが鼻から抜けていきます。老舗の威信をかけた、究極の【かつお節ごはん】に、ノックアウトされちゃってください!

「北陸新幹線小松駅」開業への期待

老舗の歴史と心意気を受け継ぐ角谷さんに、目の前に迫る「北陸新幹線小松駅」開業への期待を伺いました。

角谷亮さん
「すみげん」6代目の角谷亮さん

新幹線の開通により、今までご縁のなかった人たちが、たくさん小松に来てくれることを期待しています。人通りが多くなれば商店街もどんどん活性化するでしょうし、みんなで盛り上がっていこうという気運になるといいですよね。私たちの店では、ふらっと訪れた方が気軽に楽しめるような、かつお節の削り体験やだしの飲み比べなどができるコンテンツを提供する予定です。それぞれのお店が頑張れば、それらの点は面になる。まちなかを周遊する人の流れを効果的に作っていきたいと思っています。


ふるさとの味 すみげん
[営業時間]9:30〜18:00(蕎麦の提供は11:30〜、なくなり次第終了)
[定休日]水曜(蕎麦は木曜も休)
[住所]石川県小松市三日市町9番地
[電話番号]0761-22-4214

すみげんInstagram

3月16日(土)の北陸新幹線小松駅開業まであと少し!
小松のふるさとの味で、新幹線の旅をもっと楽しんでもらおうという老舗の取り組み。駅前商店街の店主たちも、おもてなしの心で開業を待ち望みます!