#02【こまつスクールナビ】小中一貫!松東みどり学園
小松市内の学校や学びの場をご紹介する《こまつスクールナビ》。今回ご紹介するのは、小松市唯一の義務教育学校、「小松市立松東(しょうとう)みどり学園」です。
英語や探究学習など特色あるカリキュラムが特徴の「松東みどり学園」。先日のオープンキャンパスの様子を交えながら、どんな学校なのか詳しくお伝えします!
スクールバス完備!松東みどり学園
「小松市立松東みどり学園」は名前の通り、緑豊かな山里にある公立の〈義務教育学校〉です。小松駅からは車で13分ほど。近くには風光明媚な「十二ヶ滝」があり、豊かな自然環境を求めて、移住してくる人も多い人気のエリアです。
のぼり旗に描かれているのは、松(しょう)くん&東(とう)くん。学校のいろんなところに登場する、子どもたちに大人気のオリジナルキャラクターです。
小松市内在住なら、通学区に関わらず入学・転入が可能な「広域通学モデル校」。スクールバスがあり、小松駅などいくつかのポイントを回ってくれるので安心。7〜9年生は自転車でもOK!
現在約180人の児童生徒が在籍していて、その2割ほどが広域通学とのこと。9年間継続して行う教育課程や、特徴的な学習活動に魅力を感じて入学を決めたという保護者の方が多いそうですよ。
温かみのある校舎
旧松東中学校をベースに増築した校舎は、外観も素敵! 路面に描かれているのは、「飛び出し注意」のトリックアートです。小松市立高等学校の美術部の生徒がデザインしたものなんですって。おっ!と目を引く楽しいエントランスですね。
校舎には地元特産の観音下石(かながそいし)や加賀杉がたくさん使われていて、ほっこりする温かい空間が広がっています。
あちこちにワークスペースがあるほか、コミュニケーションルーム、絵本ルームなどの多目的室も多く、ゆったりとした配置も魅力。
玄関でみんなのお出迎え&お見送りをするのは、カメ吉とゼニ吉。愛嬌たっぷりです。
2018年に、金野小学校、西尾小学校、波佐谷小学校が「松東みどり学園小学部」として統合。その後、松東中学校と統合し、2021年に義務教育学校として開校したのが「松東みどり学園」です。
玄関の正面にはパネルが設置されていて、卒業生たちはかつての学校の思い出に触れられるようになっています。
特徴的なカリキュラム
いわゆる〈義務教育学校〉とは、義務教育9年間を1つの学校で連続して行う小中一貫の学校のこと。新教科を創設したり、中学校の学習を小学校にあたる学年で先取りしたりという自由なカリキュラム編成も可能になっています。
「松東みどり学園」では、前期6年、後期3年と分けつつも、学びはステージⅠ(基礎期/1〜4年生)、ステージⅡ(活用期/5〜7年生)、ステージⅢ(発展期/8〜9年生)の段階に分け学習しています。いわゆる「中一ギャップ」の解消にも効果的なんだとか。
小学校、中学校の先生がどちらも在籍しているので、連携して子どもたちに関われるのが強み。中学校の専門教科の先生が、小学校の教科も受け持ちます。
今年度は、5、6年生の社会や理科、6年生の保健体育を教えているそう。そして英語に関しては1年生から! 専門的な教科指導が、早くから受けられる仕組みになっているんです。
◆1年生からの英語教育
学校として特に力を入れているのが【英語】です。9年間一貫の英語教育カリキュラムを整えています。1年生のクラスでは、歌ったり踊ったりしながら、わいわい楽しく授業を進めていました。
他の小学校では3年生から英語の授業が始まりますが、「松東みどり学園」では「グローバルタイム」として1年生からスタート。しかも、中学校の先生とALT(外国語指導助手)が一緒に授業を行います。
他の中学校ではALTの配置は1人だけ(小学校には配置なし)なのですが、「松東みどり学園」ではALTが2人。生の英語に触れる機会が圧倒的に多く、コミュニケーションも活発に!
◆みらい探究科
そして【みらい探究科】通称「みら探(みらたん)」は、「松東みどり学園」オリジナルの新教科です。地域の自然や環境、文化や伝統などを学んでいます。
探究に力を入れる「プロジェクトタイム」と、ICTスキルを高めながら、いろんな表現方法で伝えたり、英語で発信したりする「コミュニケーションタイム」で学習を深めます。
5年生が1年を通して取り組んでいるのは「お米プロジェクト」。学校の前に広がる田んぼを地域の方から貸してもらい、田起こし、田植えもどろんこ!
生育の様子が日々間近に見られるので、秋の稲刈りも一層楽しみになりますよね。文化祭の日の給食に全校みんなで食べた5年生が収穫したお米は、とっても美味しかったそうです。なんていい笑顔!
この日の授業では、お米をたくさんの人たちに食べてもらうためのPR動画を制作。水田とお米の魅力を、子どもたち目線でどんどん発信していくとのことでした。
学年を超えた縦割り交流
1年生から9年生まで同じ場所で学ぶ子どもたち。学年を超えて、学校行事をはじめさまざまな場面で交流しています。掃除も縦割りなので、普段から顔を合わせて話す機会が多いそう。
〈体育祭〉も異学年交流の場となります。児童生徒会が企画した競技では、前期課程の小さい子どもたちと、後期課程のお兄さんお姉さんたちがペアを組んで走りました。
入学式では9年生と8年生が1年生と手をつないで入場したり、歓迎会では9年生が考えた遊びで1年生と交流したりするなど、上級生が主体的に関わりながら絆を深めています。
オープンキャンパスでは、入学を検討しているこどもたちのために1年生が「あきまつり」を準備していました。木場潟で拾ってきた木の実を使って、事前にいろんなおもちゃを作ったそうです。
1年生が優しく声をかけ、初対面ながらも和気藹々。上の学年の子どもたちが、下の学年をお世話する関係が、自然な形で受け継がれていくんですね。
松東みどり学園について聞いてみました!
在校生や保護者の方、先生に、松東みどり学園の魅力や、義務教育学校の感想を聞いてみました。
◆児童生徒会のみなさん
「松東みどり学園」では【児童生徒会】として、5年生から9年生が一緒に活動しています。幅広い学年で構成されているので、いろんな意見が出るのが面白いところだそう。オープンキャンパスでは自分たちで準備したスライドやクイズで、学校の特徴をわかりやすく紹介していました。
Q. 松東みどり学園の自慢できるところは?
中学生と小学生が交流できるところ。もう一つは、山に囲まれているので、自然と触れ合えるところです。
Q. 義務教育学校の良さを感じる場面は?
小さい子たちがいていつも賑やかなところです。上級生はいつも小さい子たちを気にかけていて、お世話をよくしています。いろんな行事をみんなで一緒にできるのが楽しいです。
◆保護者のお父さん
オープンスキャンパスにはたくさんの保護者の方も来ていました。3年生のお子さんが通っているというお父さんにも聞いてみました。
Q. 松東みどり学園の自慢できるところは?
1年生から英語に力を入れているところです。外国人の先生が2人もいて、小さいときから生の英語に触れられるのもこの学校の魅力だと思います。
そして、子ども同士の仲が良いので、自然と親同士も仲良くなるんですよね。お互いのクリスマスパーティーに参加するなど、親子で交流を楽しんでいます。
Q. 義務教育学校の良さを感じる場面は?
他の小学校にはないような文化祭にも1年生のときから参加できるので、とても楽しそうでした。
9年生が1年生の面倒をいつもみてくれていて、子どもが外で遊んでいると「○○ちゃーん」と声をかけてくれることもあるんです。そのようなお兄さん、お姉さん的存在があるのは、義務教育学校ならではだと感じています。
◆校長の山本幸世先生
校長の山本幸世(やまもとさちよ)先生に、児童生徒の憩いの場にもなっているという図書室でお話を聞いてみました。
ちなみにこの図書室は蔵書が充実していて、小学生から中学生まで幅広い年代の本を読めるのもいいところ。寝っ転がることのできるスペースもあり、その一角にはなんと【俳句コーナー】が。
子どもたちは司書の先生に教えてもらいながら俳句を作っているそうで、新聞の俳句コーナーにも続々入選。感性豊かな作品は、この自然いっぱいの環境を思いっきり楽しんでいるからこそ生まれてくるのかもしれません。
Q. 松東みどり学園の自慢できるところは?
9年間連続した教育課程、学習活動ができることですね。他の小学校と中学校も連携はしていますが、ここでは同じ学校に両方の教員と児童生徒がいるので、日頃から専門科目の教員と一緒に子どもたちを見ていくことができるんです。
長い期間通うので教員との関係性も出来上がっていて、スムーズに継続して学習や生活を進められるのが強みです。
また、他の学校では何クラスもあるので、行事などのリーダー役はどうしても一部の子に限られてしまうこともありますが、この学校は人数が少ないせいか、みんなが先頭に立って頑張っていて、個々の主体性が育っているようにも感じます。
9学年を統率するのは大変ですが、大きな学校に行ってもリーダーシップが発揮できるはず。子どもたちの強さにもなると信じています。
Q. 義務教育学校の良さを感じる場面は?
大きな中学生が小さい子どもたちと話をするとき、みんなしゃがんで視線を合わせるんですよ。何か心配なことを見かけたときには、さっと駆け寄って声をかける場面もよく見かけます。その様子を親御さんにお伝えすると、「そんな優しい面もあるんですね」とびっくりされることもありました。
思春期を迎えた中学生が優しく寄り添う姿を見るたびに、小中一貫で幅広い年齢の子どもたちが一緒にいるからこそ、温かな人間性が育まれていることを実感しています。
まとめ
学年関係なく、みんなファーストネームで呼び合う仲の良さ。休み時間になると、校庭に走って出てきて、遊具で遊んだり虫捕りをしたり。
少人数の手厚い学習と、自然に恵まれた環境が豊かな感性を育んでくれる「松東みどり学園」。子どもたち、そして先生もたくさんの笑顔であふれていました。
(取材は2024年11月)