#14【小松の魅力は〈人〉】ダイエー株式会社 白榮洋和さんの声
小松在住の方に「小松ってどんな街?」と尋ねる《まちのみんなの声》シリーズ。14回目にご登場いただくのは、ダイエー株式会社の白榮洋和(しらえ・ひろかず)さんです。小松にはどんな会社があるのか、そしてそこで働く人たちはどんな暮らし方をしているのか、素顔の小松をご紹介します。
ダイエー株式会社とは?
ダイエー株式会社は、小松空港から車で約5分。創業1948年、海沿いの工業団地にある鉄やステンレスの板金加工を行う会社です。
〈板金から、ものづくりをもっと自由に。〉をビジョンに掲げ、どんなオーダーにも応えられる設計力&対応力が自慢。ドアや間仕切りなどの部品、建築で使う一枚板などのほか、「こんな感じのものがほしいんだけど」という“イメージを形に変える製品づくり”もお任せあれ!どんな薄板板金加工も可能な頼もしい鉄工所。
従業員は65人で、20代前半の若者から勤続30年以上のベテランまで和気藹々。明るくアットホームな雰囲気に包まれています。
社内のムードメーカー、白榮洋和さん
創業者の孫であり、幼少期から小松で育った白榮洋和さん。東京の大学に進み、地元の会社に就職。9年前にダイエー株式会社に入り、専務取締役として生産管理、品質管理や人材育成などを行っています。また、会社のリブランディングを手がけ、他社とのコラボレーションなど新基軸を次々に打ち出すチャレンジ精神の持ち主。176センチの長身に、長髪、黒縁メガネと、存在感抜群の白榮さんに工場を案内していただきました。
潜入!明るくて美しい鉄工所
工場の中に入ると、風通しの良い広々とした空間が。整然とした、とても綺麗な作業場です。
溶接の火花にドキドキ!手際も良くて、ついつい見入ってしまいます。なんだかアトラクションのよう。
白榮さんが手にしているのは鏡ではありません。一般的な鏡はガラスでできているのですが、これはスチール製の立方体。全面ピカピカ!一点の曇りもない完成度にため息です。
ピカピカに磨く作業は、滑らかにするというよりも〈微細な傷をつける〉と言ったほうが正しいとか。熟練の職人が、さまざまな研磨器を使い分けて鏡面に仕上げていきます。実際に子ども園などでは〈割れない鏡〉として重宝されているそう。しかも傷がついても研磨すれば元通り。金属の可能性は無限大なのです。
気持ちがいいほどに、パキッと繰り抜かれた鉄板!急なオーダーにも、もちろん手は抜きません。常に与えられた難問にチャレンジ。スローガン「きづき、まなび、こだわる」を社員みんなで実践し、柔軟に真摯に対応する中で、技術もどんどんレベルアップしているとのこと。
大型の機械もたくさんあります。こちらは鉄の板を曲げる機械。曲げるといっても、ただ角度をつけるだけでなく、〈アール曲げ〉という滑らかな曲線状に仕上げたり、〈つぶし曲げ〉という切れっ端の部分を折り曲げ丸め込んだりと、さまざまな技が。リズミカルで鮮やかな手さばきに圧倒!
みなさん生き生きとした表情で作業されているのも印象的でした。小松で毎年秋に開催するオープンファクトリー「GEMBAモノヅクリエキスポ」(今年は10月31日〜11月3日)にも参加されているので、ぜひみなさんも行ってみてくださいね。間近で見ると迫力ですよ。
焚き火の概念が変わる?ワクワクから生まれた〈モノづくり〉
さて、ダイエー株式会社が2年前に発表したカッコいいアウトドア製品があるのをご存じですか?「炉」ならぬ「Lo(ロ)」という名の、スタンディング焚き火台です。
東京・神奈川にある会社と3社で立ち上げたアウトドアコミュニケーションブランド「HEAVY CAMP(ヘビーキャンプ)」の第一弾となる製品で、高さ約1.2メートル。大人のちょうどみぞおちくらいの高さです。
デザイン性に優れるだけではなく、機能性もヘビー級!炉を囲む円形の鉄板で食材を焼きながら、寒い季節でもお腹も顔も身体全体が温まるという、立って楽しむ焚き火台。テーブルを兼ねているので、焼き場から動かなくてもOK。焼く、食べる、話す、どれも遮ることがありません。話も弾みそう!
さらにカッティングの技術で炉が網状になっているため、風が通りやすく燃えやすいのが特徴。一度火がつけば、薪を投入するだけで燃え続けるので、初心者にも焚き火が簡単に楽しめるんです。
アウトドアブームでさまざまな焚き火製品が出ていた中で「うちならもっといいものが作れる」と、作ってみたことが製品化のきっかけに。ワクワク楽しみながら挑戦する会社だからこそ、さまざまなコラボレーションにつながるのかもしれません。
技術力の高さは遊びから? 〈見守る姿勢〉が人を育てる
ダイエー株式会社には、転職組の技術職の方、そして若い女性も多くいらっしゃいます。どんな会社か伺ってみると、口を揃えて「コミュニケーションがとりやすく、働きやすい職場」とのこと。そして「製造業なのに休みが多い」というのも転職の決め手になったそう。キャンプなどの趣味やお子さんとの触れ合いの時間といったプライベートの充実は、長く働くためのベースにもなりそうですね。
昨年12月入社の元自動車整備士の方は、「好きなことを後押ししてくれる気風」が居心地の良さにつながっているとのこと。隙間時間で端材を使って作った、制作途中の飛行機を見せていただきました。技術向上は遊び心から。みなさん楽しそう。
工場内には「ハッシュタグ会議」のワークシートが貼ってありました。〈みんなを知るためにはまず、組織を知ろう〉ということで、製造ラインごとに従業員が集まって、気付いたことや、やる気が出たこと、改善したいことなどどんどん記入。それが製造ラインを超えたコミュニケーションにもつながっているといいます。
書かれたハッシュタグを見ると…。「社員のポテンシャルがすごい!!」「のびしろがまだまだたくさんある」「ピンチ→チャンスに!!」と前向きでエネルギッシュな言葉がいっぱい!仲の良さも伝わってきますね。
従業員の方の「お兄さん的存在」だという白榮洋和さんに、仕事への意気込みや日々の暮らしについて尋ねました。
Q. 皆さんいい表情でお仕事されてますね。
そうなんです。僕の目的は「皆を幸せにする」こと。そのために会社をどうすべきかと考えているので、従業員の生き生きとした表情を見るとやりがいを感じます。昨年の「GEMBAモノヅクリエキスポ」は見学や体験内容を全て従業員で考えて、SNSの発信なども自発的にしてくれました。皆が前向きで、自分で考え行動できるというのは素晴らしいことだと思いますし、とても頼もしいですね。
Q. 今、力を入れていることはありますか?
僕の仕事は〈新しいコトづくり〉、つまり、従業員がやりがいを持ってワクワクできる環境をデザインすることです。4月に人事評価制度を新しくしたばかりなんですが、新人であろうとベテランであろうと、日々の行動を意識すれば最高評価を得ることができるシステムで、人間としての成長が100%見込める【最強】の人事評価制度(笑)。すでに皆の仕事への向き合い方が変わったことを実感しています。社内の意見をどんどん取り入れながらブラッシュアップしていく予定で、従業員のモチベーションやワークエンゲージメントを高められればと考えています。
Q. プライベートでは趣味など何かされていますか?
トレイルランニングとマラソンです。年に数回、友人と一緒にフルマラソンの大会にも出ています。特に山を走るのが好きで、毎年白山に登っているんですけど、2時間で登って2時間かからず下りてきて、午後から出社ということも(笑)。山頂からの眺めは最高でやめられませんね。休日は能美市の遣水観音山に走りに行くことが多いです。山が近くにあるから小松に住んでいるというくらい、住環境として気に入っています。
Q. 小松でおすすめのお店を教えてください。
家族や友人とよく行くのはピザ屋の「スオリコ」さんです。めちゃくちゃ美味しくて、マルゲリータは必ず頼みます。仕事関係で利用することが多いのは「魚菜工房 壱」さん。おすすめです。
Q)小松の魅力は?
〈人〉ですね。社内に限らず僕の周りには、常に前向きで前に進もうとしている人が多いですね。それぞれいろんな意見を出し合って、楽しい感じになることが多いです。たくさんの出会いの中に学びがあり、そのつながりを実感できる環境があるというのは大きな魅力です。
(2024年5月取材)