【潜入!小松のおすすめスポット】ステキなお店がいっぱい!小松の里山エリア
みなさん、こんにちは。今日は小松のおすすめスポットとして、熱い注目を浴びる「里山エリア」をご紹介します。
里山が広がる小松市
小松市は、東西25.5km、南北に33.1km。車があればどこにでも30分ほどで行けるまちです。鉄道や国道沿いの商業地や住宅地、広い水田などのイメージが強いかもしれませんが、小松の面積の7割は森林。いわゆる「里山」といわれるエリアが多く、人の暮らしと自然が共存するのどかな風景が広がっています。
長谷町の超人気店
国道8号小松バイパス「東山IC」から、観音下・尾小屋方面に車で3分ほど行くと、大杉地区に向かう三叉路があります。そこを大杉方面に曲がって数十秒、長谷町の集落の手前に素敵なお店が近接するエリアが!
お店のオープンとともに早朝から多くの人が集まる、小松の人気スポットなのです。なぜ人気なのか、どんな人がやってるどんなお店なのか。一軒ずつ、ご紹介しますね。
◆コカチ珈琲
まずは、月に数日だけしかやっていないカフェ「コカチ珈琲」から。伺ったのは朝7時でしたが、もうこんなに車がいっぱい。
お客さんの6〜7割は県外から。時間を忘れてゆったりと楽しんでほしいという店主の思いもあり、みなさん滞在時間が長めなのですが、それを承知で数時間待つ方も。しかも待ち時間もそれぞれの時間を楽しまれているご様子。お客さんの懐も深いのが名店の証です。
表に看板はありません。そして、お店は縦長の窓がかわいいこの建物ではありません。目指すは裏の庭。川沿いに建つグレーの小さな小屋こそ、客足の絶えない「コカチ珈琲」なのです。
川にせり出す対岸の木々の緑。大杉谷川は清流として知られていて釣りスポットで有名ですが、このあたりは流れがとてもゆるやか。湖のように静かな川面を見つめていると、まるで異次元の世界にいるかのような不思議な感覚にとらわれます。
もともと小屋はなく、庭に七輪とカウンターを置いて、青空カフェの形で営業していたそう。お客さんに気持ちよく過ごしてもらうため、虫が出やすい夏の時期などはお休みだったんですが、3年ほど前に小屋ができたことで通年営業に!でも今も、お天気がいい日限定というのは変わらないスタイルです。
小屋前面の大きな引き戸がなんともレトロ。店主のマツシマジロウさんは古道具やさん巡りが趣味。この引き戸に一目惚れして小屋を作ろうと思ったそう。つまり、ジロウさんがこの引き戸に出合わなければ、今も青空だったかも…。
こだわりは引き戸だけではありません。窓もカウンターも、棚も、そして使っている器類も、同じようにひとつひとつ愛しんでここに集められたものばかり。だからなんか温かくて懐かしい、みんなに居場所があるような空間になっているのかもしれません。
珈琲はジロウさんが担当。深煎りのマンデリンは、酸味を抑え甘みを引き出したまろやかな飲み口。実はジロウさん、もともと珈琲が苦手だったんですが、あるとき「美味しい」と思える珈琲に出合ったことで一変。豆も焙煎も淹れ方も研究を重ねて、自分が納得のいく珈琲にたどり着いたといいます。
スイーツ担当はチカコさん。人気メニューは、とっておきの珈琲をそのまんまゼリーにした「珈琲ゼリー」。ゼリーは珈琲の美味しさを味わってもらうために甘味はつけていません。甘いクリームと混ぜながら召し上がれ!
こちらは「餡大豆バターバナナサンド」。チカコさんが銅鍋で半日コトコト炊いた甘さ控えめのあんこに、たっぷりのクリーム。そしてバナナ。外すわけのない組み合わせ!幸せ気分が加速します。
川沿いにリクライニングチェアを置いて庭営業ができるときには、炭火で焼いたトーストも提供するとのこと。肌寒くなってくる季節に炭火であったまりながら、美味しい珈琲と…って最高の朝ごはんですね。
現在もう一つ小屋を作る計画があるようで、今度はどんなアンティークなものたちが集まるのか。楽しみです。
柔らかな笑顔で迎える、マツシマさんご夫妻。あったかい雰囲気と、のんびりした時間の流れ、そして絶景と美味しい珈琲。ずっとここにいたくなるような居心地のいい空間です。
◆穀雨
続いては、ちょうど一年前に金沢から移転したパン屋さん「穀雨」。場所は、「コカチ珈琲」の斜め前です。
こちらは道沿いに看板が。こちらに移転する前、金沢でのお店をオープンしたのがちょうど二十四節気の「穀雨」の頃(4月末〜5月初)ということで、この名前になったそう。雨の字もしずくになってます。可愛い!
店主の山本香織さん。金沢で10年ほど店を構えていましたが、自然豊かで、あまり人が多くないような場所に移りたいと考えていたそうです。当初小松は候補地にありませんでしたが、「コカチ珈琲」のマツシマさんに勧められて、この大きな納屋をお店に。
山も川もあり、静かなのに、市街地からも近くて「田舎のいいとこどり」と話す山本さん。土地が広くて、駐車場に心配することもなく、ゆったりとした店づくりができるのも決め手でした。
「誰にでも喜んでもらえるパンを焼きたい」という山本さん。お店には、食パン、クロワッサン、クロックムッシュ、あんパン、メロンパンなどいろんなパンが20種類くらい並びます。ふわっと柔らかいパンも多いので、高齢の方から小さい子どもたちまで、幅広い世代に人気です。
こちらのお店もオープンと同時に、たくさんのお客さんが次々と。追加で焼いていますが、売り切れ閉店とのこと、お早めにどうぞ。
パン以外にも、カヌレやタルト、日持ちのするパウンドケーキやグラノーラ、クッキーなどもあります。パウンドケーキはしっとりしていて口溶けがよく、素材の良さが生きている優しいお味。のんびりした里山の雰囲気に溶け込んだお店です。
◆三山写真館
さて、最後はこだわりの記念写真を撮影する「三山写真館」。なんとこちらも、「コカチ珈琲」にお客さんとして訪れたのが移転のきっかけ。一つのお店が地域を変えていく、その影響力たるや半端ありません。
決め手はこの川のある風景でした。金沢で写真館を営んでいた三山敬祐さんエリさんご夫妻。写真館の移転先を探して、何年も川沿いのいろんな場所に行ってみていたそうなのですが、「コカチ珈琲」を訪れたときにここだと直感。完成までに3年ほどかかりましたが「どうしてもここに写真館を建てたい!」という強い思いで、今年1月にこの地でリスタートを切りました。
「三山写真館」は妻のエリさんが撮影担当。加賀市出身のエリさんは、東京にある写真の専門学校に進み、出版社の所属カメラマンとして働いていました。そしてフリーランスに。雑誌や広告の仕事をメインに活躍していましたが、誰かの手元に残る写真を撮りたいと、30歳くらいのタイミングで写真館を作ることに決めたそうです。
金沢にスタジオを構え、東京との二拠点生活。軌道に乗ってきたことから、夫の敬祐さんも仕事を辞め、一緒に写真館を経営することになりました。
「三山写真館」の特徴は、エリさんの広告写真の経験をフルに生かした「どこにもない家族写真」。どんな写真が撮りたいか、イメージを形にするために、1ヶ月前に行う事前の打ち合わせをとても大切にしています。
写真は主役である「その子」らしさをテーマに。たとえば、好きなものを聞いて、それをセットや衣装などにも反映させていきます。たとえばチーズ好きな子なら、黄色ベースの着物に、ねずみの耳みたいなヘアセット。チーズかたどったセットも手作り。徹底的に作り込みます。
衣装にもかなりのこだわりが。小松市内でアンティーク着物を扱う「CLUTCHキモノ店」に打ち合わせの段階から入ってもらい、着こなしもイメージに合わせてスタイリングしてもらいます。着崩したり、遊び心のある小物遣いをしたり、男の子だって女の子の着物を着てもOK。細部までその子らしく。ひとつとして同じ着こなしはありません。
敬祐さん、エリさん、スタッフさん、そして看板犬のタケシくんで撮影した集合写真も、なんだか映画のワンシーンのような、独特の世界観が漂います。エリさんは、長い時間をかけて自分が目指す写真館の形を模索してきました。フォトグラファーとして真正面から家族写真に向き合い、その人にとっての「特別な一枚」を形にしています。
予約がとれないほど人気の「三山写真館」。新しいスタジオは、天井高4メートルという広々とした空間。大きな窓から差し込む柔らかな光で満たされています。川沿いの眺めも最高!
撮影時間は一般的な写真館より長め。遠くから撮影のためだけにくるお客さんをお迎えするためにも、このロケーションが必要だったといいます。なんだかスタジオで森林浴をしている気分。
三山さんが小松で写真館をスタートしてから変わったことは、ゆったりとした丁寧な暮らしができるようになったことだそう。そして、長谷町をはじめ、小松市内に美味しいお店がたくさんあることも満足度を高めてくれているといいます。豊かな暮らしの中で、これからもどんどん名作が生まれていくに違いありません。
まとめ
田んぼと森林、そしてゆるやかに流れる清流。里山の風景に溶け込む、看板がほとんどない名店たち。長谷町は全国からこれらのお店目当てに多くの人たちが訪れる、注目エリアです。
JR小松駅からは車で15分、小松空港や北陸自動車道小松ICからは20分。街なかからすぐなのに、こののんびり感。ぜひ小松の里山エリアでゆったりした時間をお過ごしください!