#1【こまつスクールナビ】公立小松大学 国際文化交流学部
みなさん、こんにちは。小松のいいもの、素敵な人、暮らしの魅力をお伝えしている「Hello!こまつ」、今回から《こまつスクールナビ》として、小松市内の学校などをご紹介していきます。
実は小松市、教育機関がかなり充実しているってご存知ですか? 幼稚園や保育園、小中学校に高校、そして大学&大学院、さらにはスポーツや自然体験を楽しんだり、芸術、文化を学べる教室まで、特色あるスクールがいっぱい。
そんな小松の学び場を徹底リポート! 進学先を検討中の方も、移住を考えられている方も、ぜひご参考に。第1回目は、公立小松大学「国際文化交流学部」です。
公立小松大学とは
公立小松大学の開学は2018年。生産システム科学部 生産システム科学科、保健医療学部 看護学科・臨床工学科、国際文化交流学部 国際文化交流学科の3学部4学科を有する総合大学です。
キャンパスは中央、末広、粟津と3つあります。2年次前期までは、全学部、共通教育科目と専門科目の一部を中央キャンパスで、2年次後期からはそれぞれのキャンパスで専門科目を学びます。
2022年には大学院「サステイナブルシステム科学研究科」を開設しました。専攻は生産システム科学専攻、ヘルスケアシステム科学専攻、グローカル文化学専攻の3つ。持続可能な社会づくりに貢献できる専門的な人材が、ここ小松の地からどんどん羽ばたいているんですよ。
今回ご紹介する「国際文化交流学部」の学生は、中央キャンパスで学んでいます。小松駅に隣接していて、改札口から徒歩2分ととても便利! しかも屋根のついた歩道を通れば、雨の日でも傘無しでOKなんです。
中央キャンパスにある「国際文化交流学部」
中央キャンパスを案内してくださったのは、朝倉由希(あさくら・ゆき)准教授です。
あちこちにテーブルや椅子が置かれていて、広々とした明るい雰囲気。国際文化交流学部は、1学年定員80人。英語と中国語が必修です。
2年次の後期に「国際観光・地域創生コース」と「グローバルスタディーズコース」に分かれ専門知識を深めます。2〜3年次には、海外の協定校での語学研修や異文化体験実習にチャレンジすることもできます。
「国際観光・地域創生コース」は、世界を俯瞰しながら、地域創生や観光振興のあり方を学び、体験型の実習などを通して企画力や創造力を身につけます。
「グローバルスタディーズコース」では、世界各国の政治、経済、社会や言語文化に関する知識を身につけ、国際社会に対する知識と国際感覚を学びます。
大学では、地域の自治体や企業と交流・連携した教育を実施しており、お旅まつりなどの伝統的なお祭りやボランティア活動に積極的に参加。中央キャンパスは、そのような活動の拠点ともなっているんですよ。
朝倉由希先生の研究室へ!
朝倉先生は、文化政策がご専門。出身はおとなり福井県で、京都大学卒業後にいったん就職。しかし、東京藝術大学にアートマネジメントを学べる「音楽環境創造」という学科ができると知り、なんと退職してチャレンジ。
ピアノやフルートをずっと続けていて演奏会のマネジメントなど、音楽と社会の橋渡しをすることに興味があったからとのことですが、領域は音楽にとどまりません。
音楽、美術といった芸術から、文化財、風習や生活習慣に至るまで〈文化の多様な価値〉を豊かな社会づくりに活かすため、それを支える仕組みのあり方などを研究。また、文化庁の調査研究にも継続的に携わっています。
2023年には「文化経済学会〈日本〉」の研究大会を、團十郎芸術劇場うららと公立小松大学で開催。市民にも公開シンポジウムを行い、北陸の地域に根付いた文化資源と地域発展の可能性について議論しました。
Q. ゼミではどんなことをしているんですか?
最近では、7月13日に地元の企業「サンコロナ小田」さんと一緒に、KOMATSU九(こまつナイン)で【チャリティーファションショー】を開催しました。決まっていたのは、金沢文化服装学院の学生さんが衣装を作るということだけ。どうやったらこのイベントが成功するか、4月から企画を出し合い、準備して、当日の運営も学生たちが行いました。
参加費を全額能登半島地震への義援金としたワークショップは、3種類を準備。サンコロナ小田さんの高級ドレスに使われる生地を利用して、クマのぬいぐるみにドレスを着せたり、貼り絵ならぬ貼り布をしたり、手作りアクセサリーの製作も。余った布地はキットとして販売するなど、学生たちは臨機応変に工夫していて頼もしかったですね。
学外に飛び出して、地域の産業や歴史、文化を知る活動は大切です。責任もあるし、実践的な学びなので得るものが大きいです。実行する中でさまざまな課題に直面して苦労していますが、学生の成長のきっかけになっていると実感しています。
Q. 滝ヶ原でも毎年地域活動をされているんですね。
3年次に開講する「地域実習」の連携先として、着任した2021年から滝ヶ原に関わっています。1年目は、「滝ヶ原フィールドワーク」というウェブサイトを作りました。
この年、小松で日本遺産サミットが開かれたこともあり、日本遺産になっている小松の〈石の文化〉を知ってもらおうと、歴史や文化を現地でリサーチしました。石切場や石橋の360度マップや、動画もあるんですよ。動画は、里山自然学校こまつ滝ヶ原で観光にも活用してくださっているようです。
2年目は地域の方へのインタビューを冊子にまとめました。3年目は、滝ヶ原の四季折々の資源や人の営みを生活季節暦として表した〈フェノロジーカレンダー〉を作り、各季節の動植物やイベントなどを地域の方に聞きながら制作しました。
今年度は、明治29年に滝ヶ原を襲った水害の記録を題材にしてすごろくを作る予定です。歴史を伝え、災害への備えもできるような、世代を超えて語り継いでいけるものができたらいいなと思っています。
Q. どんな学生さんが多いですか?
とても真面目で優秀な学生が多いですね。地域と関わることを自発的に楽しんでいる学生たちもいます。今年の卒業生なんですが、お旅まつりの曳き手としてだけではなく、準備から参加して曳山の上で口上まで述べさせてもらったんです。女性が口上をするというのは初めてで、堂々と成し遂げた姿に感動しました。
温かく迎えいれてくれる地域の方のご理解があってこそ。学生たちは、お旅まつりを卒論のテーマにするなど、地域交流の中で見つけた課題に取り組んでおり、交流や体験が実践的な学びにつながっているのがとても嬉しいです。
Q. 先生からみて小松はどんな街ですか?
小松に来る前は、製造業が盛んな〈ものづくりの街〉というハード系のイメージだったんですが、「お旅まつり」や、「九谷焼」のような伝統工芸などソフト系の魅力もあり、とても奥深いです。本物の文化が残る街だなと思います。
Q .学生さんとどんな研究をしていきたいですか?
地域の隠れた魅力に新しい価値を見出して、一緒に発信していきたいですね。北陸って、自然が豊かで食べ物も美味しくて、人間が人間らしく生きられる場所。これからの豊かさが実現できる場所として、地域を持続可能にしていくことに興味がある学生さんに来てもらえたらと思っています。
ゼミの学生さんによると、チャリティーファッションショーでは、初挑戦ながらTシャツやパネルなどのデザインも担当したそうです。そして、朝倉先生はとても優しくて温かい先生だとのこと。
学生たちをふんわりと包みながら、地域にすっと入り込み、一緒に街を盛り上げてくれる朝倉先生。今後の研究も楽しみです!
(取材は2024年7月)