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【小松は“世界に自慢できるまち”】 松井さんの声

小松に住む人たちの本音をお伝えしている「まちのみんなの声」。第8回目にご登場いただくのは、松井優太(まついゆうた)さんです。

松井さんは、シルバージュエリー作家。自身でデザインし、丁寧にハンドメイドで仕上げた指輪やネックレス、ピアスなどのアクセサリーをオンライン販売しています。

yuzenのシルバーリング
槌目が美しく、肌なじみのよいシルバーリング


松井さんは金沢大学を卒業後、地元にUターンし、福井県の繊維メーカーで人事の仕事に10年間携わっていました。その後、転職した先の会社がECサイトを運営していたことから〈販売〉に興味を持ち、「自分のやりたいことを探したい」と脱サラ。そこで出会ったのが、シルバージュエリーでした。

2019年から、ハンドメイド専門のオンラインモールで販売をスタート。品質の良さと洗練されたデザインで、あっという間に人気作家に。福井県に工房を構え、住み込みで制作に打ち込める環境を作りました。現在は小松に拠点を移し、幅広く活動しています。

松井優太さん
ひとつひとつ手作業で丁寧に制作
工具
さまざまな工具を使い、彫金の技術で美しく仕上げる
シルバーリング
温かみのある槌目模様はハンドメイドならでは

一生使えるオンリーワンのアイテムとして楽しんでもらいたい。表面を叩いて作る槌目(つちめ)模様は、光の角度によりさまざまな表情を見せます。性別関係なく使えるデザインと豊富なサイズ展開で、ペアでオーダーする人も多いのだとか。

最近はシルバージュエリーのほかに、ストラップなどスマートフォンのアクセサリーも販売。ジュエリー同様、シンプルで美しいのはもちろん、品質や使い勝手にもこだわり、ひとつひとつ丁寧に作り上げていきます。

yuzenのスマートフォンストラップ
ひとつひとつ手作業で編み込んだスマートフォンストラップ


創業時から順調に売上を伸ばし、ブランドとしての価値を高めていった松井さん。その知見を活かして、他の事業者の商品開発やマーケティングなどにも携わるようになりました。

松井優太さん
マーケティングや商品開発は松井さんの得意分野

中でも、日本遺産に認定された〈こまつの石文化〉をコンセプトに商品化とブランディングに携わっているアロマストーン」の素材は、北陸の銘石〈滝ヶ原石〉荒谷商店さんが採石する〈滝ヶ原石〉を使用し、グリーンジョブさんがブランド展開するiSiKi(いしき)。太古からの小松の歴史に思いを馳せながら、自然を感じる心地よい香りでゆったりとした時間を過ごしてもらうのが狙いです。

小松の魅力を商品として形にし、世に広めていくこと。それは日本の産業を支える小松の事業者を表舞台で輝かせることであり、松井さんのやり甲斐にもつながっているといいます。


また、松井さんは昨年から、小松のオープンファクトリーイベント「GEMBA(ゲンバ)モノヅクリエキスポにも参加しています。

実は小松は、日本を代表する伝統工芸から世界シェアを誇る巨大メーカーまで多種多様の産業が集まる「ものづくり」のまち。小松が誇る「ものづくり」事業者が集まって産業観光事業を進めようと、2021年に始まったのが、このGEMBAプロジェクトなんです。

そしてここから、小松の職人の手仕事を集めた「yuzen casaが誕生。異業種の職人たちがコラボレーションしたり、従来の枠を超えて挑戦したりして生み出された〈もの〉たちが紹介されています。

たとえば、絹織物の老舗「小倉織物」さんと、九谷焼を入れる桐箱などを作ってきた「北村木箱」さん、そして品質のよい縫製にこだわる「小松縫製」さんの3社が、ともに試行錯誤して出来上がった扇子。神社仏閣の鬼瓦を守り継ぐ北陸ただ一人の「鬼師」森山茂雄さんによる花器。九谷焼の素地を作る窯元「宮吉製陶」さんが挑戦する白い九谷焼…などなど。どの商品も一切妥協のない〈職人技〉そのものです。

松井さんはそれらの〈伝道者〉として商品開発や監修なども行い、小松で育まれてきた素晴らしい職人技を発信しています。

yuzen casa
小松の職人技を結集した「yuzen casa」
ワンポイント

そんな松井さんに、小松でのお仕事の様子や暮らしについて伺いました。

Q . なぜ小松に拠点を移されたのですか?

会社のメンバーは3人なんですけど、そのうちの1人が金沢に住んでいて。福井まで通うのは大変だから、その間にある小松あたりでテナントを探そうということになったんです。

オンラインで販売する以上、災害などで交通がストップするような状況でも商品を発送しなければなりません。物流の拠点に商品を持ち込むことができる場所だということも重要でした。


Q . 小松の住み心地はいかがですか?

移転当時は「小松でなければならない」という意味は特になかったんですけど、実際に拠点を移してみたらビジネスに広がりが生まれて、とてもいい環境でした。

よそ者扱いせずに温かく受け入れてくれる地域性だったり、産業の種類が幅広かったり、いろんな業種の方との連携がとりやすいんですよね。まち自体は広いんですけど、人が集まっている場所はコンパクト。そして、誰かと知り合うと、実は誰かと繋がっているみたいなことが結構あって、仕事がやりやすいです。

基本的にオンとオフがなくて、仕事が趣味みたいな感じになっているんです(笑)。だから、ショッピングモールやコンビニが近くにあるという生活に便利な環境は、仕事に集中する時間が確保できるのでありがたいですね。

松井優太さん
仕事に集中しやすい小松の環境が気に入っているという松井さん


Q . 小松でよく行く場所はありますか?

仕事で行く場所なんですけど家具工房LEONさんですね。工房で山を眺めながら話をする時間が好きです。木の家具があるショールームの雰囲気もとても良くて。僕は田舎の山で育ったということもあって、山って落ち着くんですよね。

小松駅のあたりもよく行きます。「こまつの杜」とか「サイエンスヒルズこまつ」の雰囲気も結構好きですね。新幹線が開通したらどんなふうに発展していくんだろうって、楽しみにしながら駅周辺を観察しています。


Q. 小松市の魅力はどこですか?

産業がとても多岐にわたっていることですね。〈ものづくり〉に関していえば、九谷焼という伝統工芸もあれば、古くからの繊維産業もある。木工家具職人や鉄職人もいる。石の文化が日本遺産に登録されたのも、古来から石に関わるものづくりの産地だったからで、それが今も脈々と受け継がれている。こんなに〈もの〉が集まっている場所ってすごく珍しいと思います。

今、インテリアショップRoom Roots代表の小野木さん、いす張り工房AMANO代表の天野さん、家具工房LEON代表の福原さんと4人でDdoor(ディードア)」というユニットを組んで活動していて、小松にどんな仕事があって、どんな人が働いているのか、職人との対談をYouTube配信もしています。いろんな職人やアーティストたちが活躍の場を広げるきっかけになればいいなと考えています。

今後はYouTube配信だけでなく、「小松市を盛り上げるための最強の黒子集団」として、地域の事業者の方々のサポートができるような事業を行っていく予定です。


Q. 小松市を一言でいうならどんなまち?

〈世界に自慢できるまち〉ですね。小松にはこういう産業があって、こんな素晴らしいプロダクトがあるんだよっていうことを世界中に広めたいです。

僕の使命は「小松ブランドを世界へ」。商品開発というアプローチで、小松ブランドを世界中に発信する活動をしていきたいと思っています。

松井優太さん

松井優太さん
【家族構成】

 一人暮らし
【職業】
 ジュエリーなどの商品開発、ブランドプロデュース、マーケティング支援など
【出身】
 福井県永平寺町
【小松市で好きな場所】
 家具工房LEON、JR小松駅周辺
【小松市の魅力】
 ビジネスがしやすい、まちの規模感も雰囲気も居心地がよい

(取材は2023年5月)