見出し画像

夏のおでかけ【トロッコに乗ろう】!〈乗りもののまち・小松〉の新名物

みなさんこんにちは。毎日暑い日が続きますね。そんな夏にぜひ訪れていただきたい、ひやっと涼しく、そして〈乗りもののまち・小松〉ならではのとっておきスポットをご紹介します!


尾小屋鉱山資料館

尾小屋鉱山資料館
冬期は休館となる尾小屋鉱山資料館

それは小松駅から車で30分ほどの山間にある「尾小屋鉱山資料館」。ここにはかつて日本有数の銅鉱山として栄えた「尾小屋鉱山」の貴重な資料が展示されています。

本格的な採掘が始まったのは明治10年ごろ。その後、良質な鉱脈が発見され生産量は増大、昭和30年ごろに採掘のピークを迎えます。当時は市街地から尾小屋を結ぶ「尾小屋鉄道」が整備され、鉱石の輸送や沿線の住民の生活の足として、1日14往復もしていたほど賑わっていたそうです。しかし、時代の波に逆らえず昭和46年に閉山しました。

資料館の手前にある「ポッポ汽車展示館」では、尾小屋まで走っていた蒸気機関車や気動車を展示。車両は動かせるようにボランティアの熱意で整備されており、体験乗車日には全国から鉄道マニアが訪れます。

尾小屋鉱山資料館の館内
鉱石の展示も見応えがあります


旧坑道にも入れる!「尾小屋マインロード」

さて、この尾小屋鉱山資料館は、旧坑道にも入れるようになっています。今回イチオシの「尾小屋マインロード」です。入り口からもう幻想的。

尾小屋マインロードの入口
中に入るには資料館の入場券が必要です
尾小屋マインロードの神棚
入り口には神棚が

中に入ると、冷気でひんやり。年間通じて気温は約15度、夏場でも中にいるとだんだん寒く感じてきます。場所によっては水がしみ出していて、時々体に水滴がぽたっと当たってびっくり。

現在入れるのは数百メートルですが、木組みで補強されていたり、かと思うと岩盤が剥き出しになっていたりと、坑道の雰囲気を存分に味わうことができます。地中独特の静けさに響く足音。仄暗い坑道を奥へ奥へと歩みを進めるのもドキドキ。点検中の残りのゾーンも、準備が整えば見学の再開を予定しているとのことです。早く再開してほしい!

線路敷設前の尾小屋マインロード
線路敷設前の旧坑道内の様子

そして、ところどころに当時の採掘の様子を原寸大で再現したジオラマが展示されています。トロッコに鉱石を積んでいる様子や、ボーリング作業や見張り場など、あまりにリアルすぎる展示物に背筋がゾクッときます。なんだか肝試しのよう。

原寸大のジオラマ
他の鉱山から譲り受けた車両を展示していました


トロッコ復活へ

さて、そんなマインロードの新たな呼び物にしたいと、トロッコのための線路が敷かれました。日時は限定されますが、なんと体験乗車も!名前は「上部軌道鉄道」。かつて使われていた坑道の中を、自分が鉱石になった気分でトロッコに乗れるという、全国的にみても珍しい体験です。

真ん中の車両は人が乗る仕様ですが、後ろの黒い車両は鉱石専用。でもここにも乗れるんです!ガタガタした乗り心地がまた、トロッコに乗ってる感を盛り上げます!初お披露目の乗車体験では、黒いトロッコに乗りたいという人が続出でした。

「なつかしの尾小屋鉄道を守る会」のみなさんと復活したトロッコ
「なつかしの尾小屋鉄道を守る会」のみなさん

トロッコの整備と線路の敷設に協力していただいたのは、尾小屋鉄道の車両の動態保存と体験乗車を長年担ってきた「なつかしの尾小屋鉄道を守る会」のみなさん。1984年に結成した歴史ある会で、活動日には名古屋や横浜など、全国各地から会員が集まります。

レストア前の車両
湿気の多い旧坑道に展示されていたため、朽ちてボロボロだったトロッコ

トロッコは旧坑道に展示されていた車両を補修したものですが、引き出したときは、さびてこんなボロボロの状態になっていました。守る会では何ヶ月もかけて、溶接や塗装など大掛かりな修理を行い、真っ黒のピカピカのトロッコに再生。昨年はこの車両を用いて、ポッポ汽車展示館周辺で乗車や手押し体験をしていました。

今年になって、マインロードにトロッコを走らせようという話になり、補修したトロッコは再び坑道に戻ることになったのです。

旧坑道に車両を運ぶ様子
昨年修理を終えたトロッコの車両をマインロードに運びます
全国から集まったメンバーによる作業
鉄製の枕木は特注!丁寧に組んでいきます

5月2日。車両や線路を坑道に運び、作業がスタート。この線路にもこだわりが。狭い坑道の雰囲気を壊さないようにと、現在は生産されていない昔ながらの幅の狭い線路を探し出して敷設したのです。これまでの整備経験とチームワークで、線路は2日で敷設完了。その後、線路の調整や試運転を繰り返し、6月末に公開にこぎつけました。

手作業で線路を敷設する様子
旧坑道内に手作業で線路を敷設していきます
線路を曲げる器具
カーブは専用の器具を使いますが、これまた重くてヘトヘトになる作業


旧坑道をトロッコが走る!

6月25日の初公開日には、朝から長蛇の列。なんと県外からも多くの方が訪れていました。サイレンが坑内に響き渡り、ガタンゴトンという地響きが空気を通しても伝わってきます。100メートルほどの距離の往復ですが、手を伸ばせば岩壁に当たりそうな狭い空間をトロッコに乗って走るのは、歩くのとは全く異なる感覚で、楽しくてワクワクします。

守る会会長の坂井稔樹さんは「振動、音、におい、そういった体感を通すとまた違った視点でみることができると思います。採掘していた当時に思いを馳せながら乗っていただきたいですね」とおっしゃっていました。確かに。こんなふうにトロッコ坑道を走っていたんだなと、生きた形で体感。

トロッコが旧坑道内を走る様子
ライトが迫ってくる様子にドキドキ
トロッコの乗車体験
狭い坑道をすり抜けるように走ります
尾小屋マインロード内の様子
展示物を横目に…やっぱりちょっと怖い(笑)

部品も揃わない中、動く状態で保存するということはとても大変なこと。守る会のみなさんの熱意があってこそ、リアルな場所、リアルなトロッコでこんな特別の体験ができるんだなと思うと、ほんとに感謝感激です。

ぜひ実際に乗って体感していただきたいのですが、会のSNSでアップされている動画をご紹介しますね。体験乗車された方の中には、インディ・ジョーンズのアトラクションみたいだとおっしゃっていた方も!みなさんもぜひ、ひんやり涼しい旧坑道を、トロッコですり抜けていく爽快感を味わってください!!

今後の乗車体験日程

年内のトロッコの体験乗車は、
●2023年7月30日(日)
●2023年8月26日(土)
●2023年10月1日(日)

です。いずれも運行時間は、午前10時〜12時、午後1時〜3時で、先着で各80人となります。小学生以下のお子さんは、保護者の方の付き添いが必要です。

乗車は無料ですが、尾小屋マインロードの立ち入りは、尾小屋鉱山資料館の入場券(一般500円、高校生以下無料)が必要です。資料館の入館手続きの際に、受付でトロッコに乗りたい!とおっしゃっていただき、乗車券をお受け取りください。

体験乗車の時間帯はマインロードの立ち入りができません。歩いてマインロードを見ていただくのもおすすめですので、どちらもお楽しみくださいね。

上部軌道鉄道の体験乗車
旧坑道の中をトロッコで!

体験乗車日には、小松市がJR小松駅から無料の直通バスを運行します(行き:午前9時・10時、帰り:午後1時半・2時半)。ポッポ汽車展示館でのトロッコ運行やキハ3の体験乗車もあり、「なつかしの尾小屋鉄道を守る会」のみなさん、フル活動です。ちなみに、こちらのトロッコは「日本一乗り心地の悪い鉄道」との異名が。ガタガタした揺れをご体感ください!

ポッポ汽車展示館の公開乗車日の様子
ポッポ汽車展示館の公開運転日の様子

また、近隣にはカラミレンガという、六角形の独特の形をしたレンガの遺構が多く残されていて、まるで要塞のよう!公開運転日に合わせて「カラミ見学会」も催されていますので、こちらもぜひ!

子どもたちの自由研究や調べ学習にも。マインロードに暑さをしのぎに、そしてトロッコを夏の思い出に、ぜひ尾小屋を満喫してみてくださいね。

カラミレンガの遺構
尾小屋にはあちこちにカラミレンガが残っています

尾小屋鉱山資料館
[住所]石川県小松市尾小屋町カ1-1
[電話番号]0761-67-1122
[開館時間]午前9時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
[休館日]毎週水曜(祝日の場合は開館)、祝日の翌日(土日祝日の場合は開館)、冬期休館は12月1日から翌年3月24日まで
[入館料]一般500円(団体400円)、高校生以下無料、障がい者と付き添い1名無料、小松市在住の65歳以上は住所と年齢がわかる証明書の提示で無料
[駐車場]約20台


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!