#01【こまつ美食帖】木場町のショコラトリー&パティスリー「エラブル」
豊かな自然環境に恵まれた小松。加えて、加賀百万石の茶文化や懐石料理が町衆文化として受け継がれ、さまざまな食文化が育まれてきました。
そんな風土と歴史の中で醸成された、小松グルメの数々を【こまつ美食帖】としてご紹介することに。小松の美味しいものリストとしてご活用ください!
初回は、素材へのこだわりと繊細な美意識で芸術品のようなケーキを生み出す洋菓子店「E'rable CHOCOLATERIE PATISSERIE(エラブル ショコラトリー パティスリー)」です。
木場潟近くの真新しい洋菓子店「エラブル」
国道8号小松バイパスの木場ICを降りてすぐの交差点に「E'rable CHOCOLATERIE PATISSERIE(エラブル ショコラトリー パティスリー)」はあります。2023年8月にオープンした、新しい洋菓子店です。
落ち着いたピンクが基調の明るい店内。ショーケースには旬のフルーツを使ったケーキや、自慢のチョコレートケーキがずらり。眺めているだけで気分が上がります♡
小松市内を中心に、県外からもたくさんのお客さんが訪れる人気店とあって、早々に売り切れてしまうことも。そんな魅惑のケーキの数々から、悩ましく選び抜いたとっておきの2つをご紹介しますね。
★エラブルの看板ケーキ〈ショコラミオ〉
まずは、お店の看板ケーキ。つやっつやのチョコレートコーティングに目を奪われる、ハート型の〈ショコラミオ〉(680円)です。
フルーティーなチョコレートムースの中に、バニラのクレームブリュレを閉じ込めていて、口に入れるとなめらかに溶け合っていきます。この繊細なハーモニーに感動! 新鮮さにこだわるからこそ、香り高く軽い口溶けの極上ムースになるそうですよ。
中にはフランボワーズの甘酸っぱいジャムと、さくさくした歯応えが楽しいクッキーが忍ばせてあります。しかもこのクッキー、チョコレートでコーティングしているという手の混みよう。ベースのチョコレート生地と、表面のつやつやのグラサージュで、7層に!
さまざまな産地のチョコレートを使用
ショコラトリーと称する通り、チョコレートには相当なポリシーがある「エラブル」。最高品質と評されるイタリアのチョコレートブランド「ドモーリ」を使用し、産地ごとに異なる味わいや香りを楽しめるよう、12種類のチョコレートを使い分けています。
〈ショコラミオ〉には少し酸味がありベリーの香りがする「マダガスカル産」。他には、花のような華やかさがある「ペルー産」や、バナナっぽい感じの「エクアドル産」など、チョコレートの個性を引き出せるよう吟味しているのだとか。いろいろ食べ比べしたくなっちゃいますね。
★ショコラトリーの粋な〈和栗モンブラン〉
さて、続いては〈和栗モンブラン〉(780円)。国産の栗が出回るお盆ぐらいから登場する、季節限定のケーキです。
中のクリームはホワイトチョコレート。塩を効かせることで甘くなりすぎず、栗らしさが際立つそうです。生クリームとは違い、軽さが出るのも特徴。アーモンドのメレンゲの香ばしさも加わって、優しい大人の味わいに仕上がっています。
和栗はお酒を効かせないほうが、和栗の風味が引き出されるとのこと。この絶妙なバランス感、ぜひ味わってみてください!
食感にこだわる大人の焼き菓子
手前左から〈チョコレートクッキー〉(230円)、〈バニラクッキー〉(150円)、奥が〈フィナンシェショコラ〉(250円)。パティシエ自慢の焼き菓子は、食感にこだわりが。
〈チョコレートクッキー〉は強力粉をブレンドしており、少ししっとり感がありながら、サクッとした軽さが特徴。発酵バターのコクがたまりません。
〈フィナンシェショコラ〉にはチョコレートの原料であるカカオマスを砕いてペーストにしたものを使用。香りも味も強くなるんですって。産地はエクアドル産。さらにチョコチップを散らすことで、食感の違いを楽しめるように工夫しています。
エラブルを切り盛りする、山本さん夫妻
パティシエの山本慶也(やまもと・よしや)さんと、奥さまで接客担当の楓子(ふうこ)さん。お子さん3人を育てながら、2人で店を切り盛りしています。しかも一番下が3ヶ月!まだまだ大変な時期にもかかわらず、元気いっぱいの素敵な笑顔に頭が下がります。
「エラブル」という店名は、奥さまの楓子さんの「楓(かえで)」からとったのだとか。楓子さんのように愛嬌たっぷりの、そして「楓」の花言葉のように「大切な思い出」のひとつになるようなそんなお店を目指しているそうです。愛あふれるエピソードに胸キュン♡
小松で開店した経緯
金沢出身の慶也さんはパティシエを目指し専門学校へ。繊細な温度管理が必要なチョコレートを自在に扱うショコラティエに憧れて、県内の有名パティスリーやホテルで8年ほど経験を積みました。
そして昨年、自分のケーキに対する思いを表現できる店を構えたいと、楓子さんの地元である小松で独立。ご実家の子育てサポートも受け、出産を乗り越え店を軌道に。2人で育児を楽しみながら、オリジナルのケーキ作りを追求しています。
実は楓子さんも同じ専門学校で製菓を学んでいて、金沢のホテルでパティシエとして働いていた経験が。2人で一緒に味を見ながらケーキを仕上げているそうですよ。
実は甘いものが苦手という慶也さん。だからこそ、塩を効かせるなどの工夫で、甘すぎず、絶妙なバランスのケーキに仕上がるんですね。1人で買いに来られる男性のお客さんが目に付くのも納得です。
小松での暮らし
開店を機に小松に移り住んだお二人、子育てとの両立は大変! でも、自分のペースで生活でき満足しているとのこと。
お休みの日は、6歳の長女と40分くらいかけて自転車で木場潟を一周したり、4歳の長男も一緒に航空プラザに行ったり。慶也さんによると、小松には子どもと一緒に遊べる場所がたくさんあって楽しく、空が広くて綺麗なところも気に入っているとか。
さらに楓子さんは、子どもの医療費が無料というのが嬉しかったそう。子どもが育てやすい環境というのは、Uターンの決め手となったようです。
【お店の基本情報】
チョコレートの繊細な香りや味わいを楽しめる「エラブル」。温かい雰囲気に包まれたアットホームなお店でもありました。
(取材は2024年9月)