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「移動編集部」で小松市に行ってきた

文春オンライン編集部

 2022年11月、文春オンライン編集部は石川県小松市に約1週間滞在した。
 さまざまな地方に文春オンラインのスタッフがお邪魔して、「読まれる」記事を現場から発信してゆくという特集企画「移動編集部」の一環だ。小松市のご協力のもと、今回は7泊8日というスケジュールになった。

どこでも仕事できる時代だからこそ ©文藝春秋

 実は、小松市には以前も一度取材で訪れたことがある。国会議事堂にも使用されている石材が採掘されていた「観音下石(かながそいし)」の石切場跡だ。坑道も含めて圧巻の光景だったが、1日しかいられなかったので後ろ髪を引かれる思いで帰路についたことを覚えている。
 あれから2年。
 悔いが残っていたことの一つは、北陸の秋の味覚、カニを味わえなかったことだ(解禁日の前日に帰京という哀しいタイミングだった)。逆に今回の訪問は解禁直後。到着日の夜、「作戦会議」と称して繰り出した小松駅近くの居酒屋にて、宝石のような香箱ガニをいただくことができた。カニに加えて刺し身も美味。地酒の杯が進むこと進むこと……。
 さて、移動編集部に欠かせないのが、オフィスがわりになる「拠点」だ。今回お世話になったのは、市内にあるコワーキングスペース「EATLAB」さん。取材・撮影したデータの整理は、日中こちらで行っていた。フリーアドレスでWi-Fi利用可能なので、リモート会議への参加にも支障がない。EATLABを経営している瀬尾裕樹子さんは、出産を気に東京から移住して、現在は地域おこしにも携わっている。私たちにも、取材先のヒントなど、さまざまかたちでご協力いただいた。

「EATLAB」はとてもフレンドリーな空間でした ©文藝春秋

 そして、もう一つ2年前の小松でやり残したのは、古民家を改装した「TAKIGAHARA CRAFT&STAY」に泊まること、そしてもともとは蔵だったというワインバーで飲むこと。こちらにもコワーキングスペースがあり、ひと目見て「ここで原稿を書けば絶対にはかどる!」と直感が告げていた。
 今回、念願叶って2日間滞在することができた。ナチュラルワインをいただきながらの語らいも含めて、ヤギやニワトリに囲まれた古民家での宿泊は、とてもすてきな体験になった。
 え? 肝心の原稿はちゃんと書けたかって?
 原稿の執筆、創作に行き詰まった方は、ぜひ一度お試しください。自信を持っておすすめします。

「TAKIGAHARA CRAFT&STAY」にて。蔵を改装したワインバー ©文藝春秋

 と、食いしん坊日記のような内容になってしまったが、目的地から直帰する「弾丸出張」ではなく、編集部ごと「移動」することによって見えてくる光景もあるのではないかと思っている。その土地のものをいただき、地元の方とお話しすることで、編集部の机に座っていては思い浮かばない企画が生まれてくるのだ。
 実は、今回の企画にはスタッフの子どもたちも同行した。スタッフが日中に仕事をしている間は市内にあるこども園にて預かっていただいた。広い園庭で思いっきり遊んだり、教室前に植えてあるカブを引っこ抜いて給食のおかずにしてもらったりと、子どもたちも貴重な時間を過ごすことができたようだ。
 小松市は東京大学と日経新聞による「多様な働き方ができる自治体」の調査では全国1位、東洋経済新報社が発表した「住みよさランキング2021」では全国15位だったそうだが、実際に子どもとともに滞在したことで、そんな特徴をリアルに感じることができた。

小松市、またきます! ©文藝春秋

 ……と書くと、もう思い残すことはなにもないというニュアンスになってしまったが、個人的にはまだまだ小松を開拓したい。名物のB級グルメ「塩焼きそば」はもっと食べ歩きをしたかったし、なにより来年春に北陸新幹線が延伸した暁には新しい駅舎に降り立ってみたい。また別の機会に再訪できれば良いなと願っています。
 なお、「移動編集部」のスタッフが記事化された小松市発のコンテンツは、ぜひ文春オンラインにてお読みください。


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